産後2ヶ月間は「出生児育児休業制度(産後パパ育休)」
いままで女性は産前産後休養として産後8週間は育休が取れていましたが、男性の子どもの出生後に関する育休制度はありませんでした。しかし2022年10月からは出生後8週間以内に最大4週間の産休が取れる「出生児育児休業制度」、通称「産後パパ育休」ができました。もちろん4週間全て使い切らなくても大丈夫です。
この制度は最大2回の分割で取得することができます。
- 出生後に4週間まとめて休む
- 出生後に2週間、時間をおいて2週間休む
- 里帰り出産後に奥さんが帰ってきた1ヶ月後に4週間休む
このようにご家庭やお仕事の状況に合わせて休むことができます。
申請期限は予定日の2週間前。分割する場合は申請時に申し出をする必要があります。
産後パパ育休の条件
・休業開始日前2年間に給料が払われた日が11日以上ある月が12ヶ月以上あること、または就業時間が80時間以上の月が12ヶ月以上あること
例)入社1年未満の人
・申請をする時点で、子どもの出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間後の翌日から6か月後までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな場合
例)派遣社員やパートで出産から半年後で契約終了が既に決まっている人
・休業期間中の就業日数が、最大10日以下であること
・休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
正社員、契約社員、派遣社員、何であろうと上記に当てはまっていれば育休を取得できます。
この3つが取得できる条件となっています。「休業期間中の就業って何?」と思うかもしれませんが、休業中であっても労働者が同意しているのであれば働くことができます。「この日だけどうしても会議に出なくちゃいけない」などありますよね。そういった場合でも育休を取ることはできるけど、10日以上働いていたらNGということです。
出産予定日が前後したらどうするの?
出産予定日はあくまで予定日。予定日ぴったりに出産できる人のほうが少ないですよね。「予定日から休みを申請しているけど実際の出産日とのズレはどうすればいいの?」という方は次をご覧ください。
・出産が予定日より早かった場合
出生日から出産予定日の8週間後までの間で最大4週間取得できます。
・出産が予定日より遅かった場合
出産予定日から出生日の8週間後まで最大4週間取得できます。
つまり予定日とのズレは8週間にプラスされるので、出生日又は予定日の早い方から産休はとれます。取れることは取れますが、ここらへんは仕事との兼ね合いがありそうなので上司に相談しましょう。
じゃあその間の給料っていくらなの?
その間のお給料は「出生児育児休業給付金」という制度で支払われることになります。
具体的な計算方法は次の項目をチェックしてみましょう。
給料の約8割がもらえる「出生児育児休業給付金」
産後パパ育休を取得した人は、産休中は「出生児育児休業給付金」を支給されることとなります。
産後8週間後〜1歳未満の間で取得できる通常の育休でもらえる「育児休業給付金」も名目は違うものの、計算方法は同じ。
支給額は「休業開始時賃金日額 × 産休した日数 × 67%」です。
休業開始時賃金日額とは、休業開始前の6ヶ月の賃金(額面)を180(6ヶ月×30日)で割った金額です。
基本給少なめで残業代で稼いでいる方は不安になるかもしれませんが、安心してください。この給料には通勤手当や残業代、各種手当なども含まれた全ての金額で計算されます。
例)4週間(28日)育休を取得、過去6ヶ月に月給30万円/ボーナス45万円を支払われていた場合
225万円÷180日=12,500円
12,500円×67%=8,365円
8,365円×28日=234,500円
支給額:234,500円
育休中の給料は上限があります。
休業開始時賃金日額の上限額は15,190円となります。※令和5年7月31日まで
→出生時育児休業給付金の支給上限額(休業28日):15,190円×28日×67%=284,964円
子どもの出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から8週間後の日の翌日から申請可能となり、その日から2か月後の月末までに「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」を提出する必要があります。育休は2回に分割して取得できますが、申請と支給は1回にまとめて行います。
月末を含んだ育休の取得がおすすめ
67%と聞くと少ないと思うかもしれませんが、産後パパ育休の期間は月給・ボーナスにかかる社会保険料(所得税、住民税、社会保険料)が免除されます。これは免除されますが払っていることになっているので、年金が減るなどは気にしなくて大丈夫です。
先ほど例で挙げた月収30万円の場合、育休時の給付金は約23万円なので67%といいつつ約8割が支給されることとなります。※住民税は去年の収入による税金なので通常通り引かれます
ここで注意したいのが、社会保険料が免除されるには「育休期間に月末を含んでいること」という要件。例えば2週間産休・育休するのであれば、10/1〜10/15に休むのと10/17〜10/31に休むのではもらえる額が変わってきます。さらにボーナス月であればボーナスの社会保険料も免除されます。
「出生児育児休業」「育児休業」違いは?
違いは取得する期間というだけです。産まれてから生後8週間までの育休が「出生児育児休業」、生後8週間から1歳になるまでの育休が「育児休業」となっています。
パパの産休の制度が開始されたのに合わせて1歳までの育休も分割することができるようになりました。支給額の計算方法も変わりませんが、育休の方では取得して6ヶ月後からは支給額は50%に下がります。
育休制度がない会社はない
「うちの会社で育休を取っている人見たことない」
「うちの会社には育休ないと思うんだよね」
全体の7割がブラック企業である日本では、実際にはこういう人の方が多いと思います。
ですが結論からいうと、育休がない会社はないです。
育児・介護休業法という法律で決められた会社の制度なので、育休の取得を会社が拒否することは違法となっています。
それにともない育休取得を理由にした以下のことも禁止されています。
・ハラスメント
・不当な扱い
・不当な人事評価
・不当な配置転換
・減給
こういった扱いを受ける場合は会社の相談窓口や労働基準監督署など第三者の機関に相談しましょう。
10月の変更に合わせて、従業員1000人超の企業は男性の育休取得状況などについて、最低年1回の公表が義務付けられることになりました。ただでさえ残業を無理やり減らしたことによるしわ寄せがあったりするのに、育休をしなくてはいけないからとしわ寄せが起こりそうな予感がします。ですが、いまのところは育休に関しては追い風が吹いています。思ったより給料が下がらないと思った方も多いのではないでしょうか?ぜひ家族と、会社と相談してみてくださいね!