英検の勉強を始める前
半年前からうちの塾に通っていた小学5年生の男の子。今まで英会話がメインのクラスに入っていましたが、担当の先生が辞めることになり、私の文法クラスにやってきました。
記録簿を見る限り日常の英会話をメインに単語や言い回しなどを勉強していたようで、文法はほとんど手つかずの状態でした。リスニング・英検ジュニアはたまにやっていたようですが、いざ始めてみると「This is 〜. 」という簡単な文でも書けない現状。単語もたくさんやっていたようですが、意味はわかるけど読めない・書けないでした。
英検を目標にする前はそんな感じで「英語の楽しさをとにかく知ろう」がメインの授業。親御さんも「楽しく通えていればOK」といった感じでしたが、それもそのはず。この子は親に通わされているのではなく、自分で英語を習いたいと言ってうちに通い始めたんです。そのためモチベーションはあるものの、目標は特にないという珍しい状況でした。
引き継いだあと、私はさすがに文法の遅れが気になり文法を教え始めました。このときは基礎がわかれば英会話に役立つからやっといて損はないと教えはじめましたが、数週間教えていると文法の出来なさよりもあることが目につきました。
「自信」のなさです。自信がなく、声も小さくなってしまい、答えがあっていてもすぐ消してしまうのです。そこで私は「何か自信につながるものを」と思い英検の受験を勧めました。
単語・イディオム
単語・イディオムは基本的に宿題で出していました。短期的な暗記が強い子だったので授業中にやっても効果が薄いと感じたからです。
単語はとにかく読ませて、意味を覚える。過去問で知らなかった単語も随時追加していきました。知らない単語は自分で辞書で調べていたりしましたが、覚えられない単語はずっと覚えられなかったので、単語の意味に沿って体を動かすジェスチャーをつけたり、使う場面やだれに使うなど「へぇ〜」と思うような補足情報を加えることで覚えられるようお手伝いしました。
文法
穴埋め問題
穴埋め問題は初めは一緒に解くことから始めました。初めは先述した通り単語力が低かったので半分程度の正答率でした。単語の暗記と穴埋め問題の正答率は比例して高くなりましたが、それでも正答率は7割程度。残りはケアレスミスと問1最後にある文法の問題でした。
この文法の問題は「並び替え問題の練習とともに出来るようになるだろう」と考えて放置していましたが、悪い意味ではずれました。並び替え問題がほぼ完璧にできるようになっても穴埋め問題の文法ができるようにならなかったのです。そこで初めて文法の順番を当てることと、正しい文法を当てることは文法を勉強する方向性が違うことに気づきました。穴埋め文法問題では正解以外の選択肢を消せるかの消去法で攻めることになりました。もう一度be動詞の文法から全ておさらいし、単元ごとに練習プリントを数枚ずつしました。その後単元バラバラの問題でできるようになったかの確認と練習がしたかったのですがネットに転がってなかったので、こちらも自作でプリントを作りました。
並び替え問題
並べ替え問題が最も正答率が低く、重点的に対策する必要がありました。文法の弱さが並び替え問題で全て出ていて、主語、動詞の順番ですら間違っていることもありました。単語はもちろんイディオムなども全くはいっていなかったので1問正解すれば良い方で、ここで暗記ものと文法の甘さを再確認し、ここから1ヶ月かけて詰め込んでいきました。
イディオムはもう覚えてもらうとして、並び替え問題の練習問題が必要になりました。1文を何も見ず作れるほどの単語力・文法力がなく、並べ替え問題で練習するしかなかったのですが、単元でまとめられている問題はたくさんあったのですが、単元バラバラの問題集が少なく、良いものがありませんでした。そこで作ったのが自作の並べ替え問題プリントでした。
並び替え問題だけでなく穴埋め問題など筆記全体で間違えた問題を並べ替え問題として作問することにしました。単元で統一された問題だとピンポイントで練習するには最適ですが、こういった全体的な文法の練習という意味では単元別のプリントでは「この単元だからこの文法」というように悪知恵を働かせてしまいます。それを避けるために並べ替え問題という大きなくくりのプリントで練習しました。
リスニング
もともと英会話のクラスにいたこともあって、リスニングの能力は高かったです。ただテストの形式に慣れるまで何回か練習が必要でした。初めは1部、2部と区切ってやっていましたが、2回程度やった後は筆記を含めた通しにすることで本番での緊張がなくなるようにしました。初めは7割程度の正答率でしたが、最終的には5問ミス以内に抑えることができました。
「18(eighteen)」「80(eight )」など「-teen」と「-ty」の違いが最も苦戦していました。
アクセントの箇所の違い:エイティーン(eighteen)なのか エイティー(eighty)なのかに注目して、2つをひたすら交互にgoogle先生に読み上げてもらい対策しました。
使用教材
購入したテキストは「2022年度版 英検5級 過去6回全問題集」のみです。
「文法の解説や、単語の意味はいらない。過去問がとにかくやりたい。」という方におすすめです。過去問がただ6回分入っているだけのシンプルなテキストですが、その分価格も1,320円(税込)とリーズナブルでした。CDを再生する機械を持っていなかったので、リスニングが携帯で聞けるものに限定して選びました。
すべての文法・単語をやり、英検公式HPに乗っている過去問3回を終えたあと、テストまでの1ヶ月半はこのテキストで過去問をひたすら解きました。
このテキストのよかったところは、リスニング音声の再生速度が自由に変えられるところです。アプリを使って再生するのですが、最大0.5〜2倍速まで遅くすることも早くすることも可能です。問題形式に慣れてからはリスニングを1.4倍速にすることで時間短縮+リスニング強化に成功しました。(1.5倍速〜はさすがについていけず、1.4倍速がちょうど良かったです。)
問題ごとに音声が区切られているので、間違えた問題だけやり直すのが簡単なのも嬉しかったです。
勉強期間と結果
結局、週1で1時間の授業を半年続けて、合格することができました。宿題や課題などの自宅学習は単語以外やっていません。
文法を1から学び、結果は余裕で合格だったので同じ勉強頻度でも3ヶ月あればギリギリで合格することはできると思います。正答率は6割なので、ハードルも高くありません。ただもともとの目的は「自信をつけること」だったので、落ちて自信を無くすことは絶対に避けなければいけませんでした。そのため今回のケースでは半年は必要だったと感じます。
英検5級に受かって周りの人に褒められたのか、英検に受かった週はかなり嬉しそうにしていました。中1の範囲が終わったこともかなり誇らしそうでした。(学生時代の年上のお姉さん・お兄さんって大きく見えるものですよね。)
終わったあとすぐ4級の範囲に入りましたが、5級の際に文法をかなり重点的にやったのでベースができており、進みや理解がかなり早いです。5級時点でしっかり基礎を作るのはかなり大事だと再認識しました。
まとめ
・今後のためにも文法問題は基礎をしっかり固める
・穴埋め問題と並び替え問題の文法は別物
・リスニングは通しでやるのがおすすめ
・単語とイディオムは体や感情で記憶する