ケンブリッジ英検は、IELTSなどを使っているケンブリッジ大学機構が作っている英語検定です。
日本での認知度はまだ低いかもしれませんが、世界130ヵ国以上、年間250万人が受験しており、留学や入学、就職に使えるれっきとした検定試験です。
今回紹介するケンブリッジ英検のYLEのレベルは、英検の準2級〜5級に相当し、12歳以下を対象に作られています。
英検を受験し終わった人、より実用的な英語力を試したい人、そして英語を楽しみたい人におすすめの英語検定です。
ケンブリッジ英検の特徴
独自の面接方法
ケンブリッジ英検はリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測る試験です。
それなら英検と同じだと思うかもしれませんが、一番の違いは面接(スピーキングテスト)にあります。
面接官と1対1なのは英検もケンブリッジ英検も同じですが、ケンブリッジ英検では試験官と受験者の距離感が近く、とてもフレンドリーな雰囲気で面接を進めます。英検より緊張しないので、受験者の実際のレベルを測れるようにできています。
有効期限は2年
ケンブリッジ英検に有効期限はないとはされていますが、実際には2年以内に取得したものが証明として使えることが多いです。確かに資格としての有効期限はありませんが、証明書として使うのであれば、英検やTOEICと同じで実際には取得してから2年が有効期限といえるでしょう。
レベルの幅広さ
ケンブリッジ英検は細かなレベルに分かれて受験します。下は英検5級以下レベル、上は英検では算出できないレベル(IELTS8.5~9)まで幅広くレベルが設定されています。そのため小学生から社会人まで受験することができます。
CPE: Certificate of Proficiency in English
CAE: Certificate of Advanced English
FCE: First Certificate in English
PET: Preliminary English Test
KET: Key English Test
YLE: Young Learners English(Starters / Movers / Flyers)
CEFR | 英検 | ケンブリッジ英検 | TOEIC(L&R) | IELTS |
---|---|---|---|---|
C2 | | CPE | | 8.5-9.0 |
C1 | 1級 | CAE | 945〜 | 7.0-8.0 |
B2 | 準1級 | FCE | 785〜 | 5.5-6.5 |
B1 | 2級 | PET | 550〜 | 4.0-5.0 |
A2 | 準2級 | KET / YLE Flyers | 225〜 | 3.0 |
A1 | 3級・4級 | YLE Movers | 120〜 | 2.0 |
Pre A1 | 5級 | YLE Starters |
Pre A1 Starters(スターターズ)
スターターズはケンブリッジ英検の中で一番下のレベルで、英検なら5級、学年なら中1レベルの英語が出てきます。全45分で簡単な英語を使って問題が構成されており、本当に英語習いたての子におすすめです。
リスニング(20分)
文が読まれたあと、”What is …’s name?”や”How old…?”など疑問詞を使った簡単な質問に答えます。文は2回読まれ、全部で20問です。
1 | ストーリーを聞いて説明と一致する 絵の中の人物と名前を線でつなぐ。 |
2 | 数字と綴りを聞く。数字と名前を書く。 |
3 | さまざまな種類の特定の情報を聞く。 ボックスにチェックする。 |
4 | 単語、色、前置詞を聞いて絵の中から 正しいものを選んで色をぬって答える。 |
リーディング&ライティング(20分)
全25問の質問に20分で答えます。snake, grape, houseなど身の回りの簡単な英単語を使います。英検とは違い記述があるので、スペルも出題される点だけ注意しましょう。
1 | 文章を読んで単語の意味がわかる 文章の真偽についてチェックかXを記入する(単数形、複数形両方)。 |
2 | 絵と絵の説明文が合っているか どうかをyes, noで答える。 |
3 | 与えられた文字を並び替えて絵が 表す物の名前を答える。 |
4 | イラストつきの短文を読み、その空 所に適語を補充して答える。 |
5 | 絵が表す物語について一語の単語で 答える。 |
スピーキング(3-5分)
“Do you have…?”や”What Colour…?”など簡単な質問を聞かれるので基本的にYES or NO又は短い文章や単語で答えます。
1 | 口頭で与えられる指示を理解して いるか。絵の正しい部分を指し示す。 指示に従い、絵カードを場面が描か れているイラストの上に置く。 |
2 | 口頭の質問に答える。 ‘Tell me about …’の質問に対して簡潔に答える。 |
3 | 口頭で与えられる指示を理解しているか。 物に関する質問に短く答える。 |
4 | 自分自身について簡潔に答える。 |
A1 Movers (ムーバーズ)
ムーバーズでは英検では3級または4級、学年では中2・中3レベルの単語や文法が使われます。英語を読む・話すことに慣れてきて、単語ではなく文章で答えられるようになったら挑戦しましょう。
リスニング(25分)
内容はスターターズとほとんど変わりませんが、語彙や文法のレベルが少し上がっています。例えば数字を答えるものでも、”How old…?”が”Number of different kinds of animals”と聞かれています。全25問です。
1 | ストーリーを聞いて説明と一致する絵の中の人物と名前を線でつなぐ。 |
2 | 名前、綴り、その他の情報を聞いて単語や数字を記入する。 |
3 | 単語、名前、詳しい説明を聞いて絵と文章が合っているか答える。 |
4 | 説明通りの絵を選び、ボックスにチェックして答える。 |
5 | 単語、色、特定の情報を聞いて色を塗ったり単語を書く。 |
リーディング&ライティング(30分)
YESかNOで答えるものが無くなり、質問自体が長くなっているので、語彙力・文法力に加え速く読む力もつける必要があります。”A shirt”が”A purple shirt”など形容詞を使って答える練習が必要です。
1 | 単語とそれを説明する文章とを合わせる。 |
2 | 対話を読み、質問に対する正しい答えを文字に〇を付けて選ぶ 。 |
3 | 短いストーリーの空所に適語を選んで答え、そのストーリーにタイトルをつける。 |
4 | 短文の空所に選択肢から適語を選んで単語を書き写して答える。 |
5 | 文章を読み、1~3語の適語を探して文書を完成させる。 |
6 | 絵を見て文章を完成させ、質問に答えて絵について作文する。 |
スピーキング(5〜7分)
間違いさがしや絵のストーリーを繋げるなど、ムーバーズではYES / NOや単語ではなく、しっかり文で答えます。問題がわからなくても、「この人は何してる?」「この2つの違いはなに?」など聞かれるので間違いさがしが完璧にできる必要はありません。「誰が何をしている」「これはこうで、あれはこう」という説明が瞬時に英語でする必要があるので、単語力は必要になってきます。
1 | 2枚の絵を見て簡潔に説明をする。 4つの異なる点を見つける。 |
2 | ストーリーの始まりを理解して一連の絵をもとにストーリーを繋げる。それぞれの絵について順を追って説明する。 |
3 | 4枚の絵から仲間はずれを1枚選んで理由を述べる。 |
4 | 自分自身に関する質問を理解して応答する。自分自身について答える。 |
A2 Flyers (フライヤーズ)
フライヤーズではレベルは準2級、学年では高校1年生程度と設定されていますが、実際には3級レベルの英語力で合格できるでしょう。質問をしたり、されたり、接続詞を使った長い文や1,000字程度の長文を難なく作れる・読める程度の英語力が必要です。
リスニング(25分)
ムーバーズから試験内容は変わっていませんが、語彙・文法レベルが上がっています。”If…”などの接続詞がでてきたり、関係代名詞を勉強しておきましょう。全部で25問です。
1 | ストーリーを聞いて説明と一致する絵の中の人物と名前を線でつなぐ。 |
2 | 名前、綴り、その他の情報を聞いて単語や数字を記入する。 |
3 | 単語、名前、詳しい説明を聞いて絵と文章が合っているか答える。 |
4 | 説明通りの絵を選び、ボックスにチェックして答える。 |
5 | 単語、色、特定の情報を聞いて色を塗ったり単語を書く。 |
リーディング&ライティング(40分)
ムーバーズでは300字程度だった長文問題、空欄補充問題がスターターズでは1000字程度に量が増えています。内容を理解しつつ、英語を読む力を養う練習をしましょう。作文問題も、絵について2文だけだったものが、今回からは3つ絵についてストーリーを20単語以上で記述と出題されています。全部で44問出題されます。
1 | 単語とそれを説明する文章とを合わせる。 |
2 | 対話を読み、質問に対する正しい答えを(A‒Hから選んで)答える。 |
3 | 短いストーリーの空所に適語(イラスト付)を選んで答え、そのストーリーにタイトルをつける。 |
4 | 短文の空所に選択肢から適語を選んで単語を書き写して答える。 |
5 | 文章を読み、1~4語の適語を探して文書を完成させる。 |
6 | 短いテクストを読み空欄に適語を補充して完成させる。 |
7 | 3枚の絵をベースに短い文章を書く。 |
スピーキング(7〜9分)
フライヤーズのスピーキングでは受験者と試験官の会話形式が多くなってきます。お互いの絵について異なる点を見つけたり、情報を教えあったり、答えるだけでなく英語で質問する練習をしておきましょう。ストーリーをつなげる問題では、ムーバーズでは4枚だった絵がフライヤーズでは5枚に増えています。
1 | 口頭で与えられる指示を理解して、試験官が持っている絵と受験者の絵とで6つの異なる点を見つける。 |
2 | 質問に簡潔に答える。情報を引き出すため質問をする。人物、物、状況について質疑応答する。 |
3 | ストーリーの始まりを理解して一連の絵をもとにストーリーを繋げる。それぞれの絵について順を追って説明する。 |
4 | 自分自身に関する質問を理解して応答する。自分自身について答える。 |